TECHNOLOGY技術力

製品に高付加価値をもたらす
熱処理の技と品質管理

熱処理加工は、金属加工の品質を大きく左右する大事な工程です。社名に冠する真空熱処理加工を中心に、製品の特性に応じた最適な熱処理を施します。加えて、最新の設備と徹底した品質管理を融合することにより、製品に高付加価値をもたらします。新技術の開発・導入も積極的に推進し、ユーザーの皆様に満足していただける製品づくりに貢献します。

加工技術

金属熱処理加工真空熱処理

真空熱処理

  • 焼入れ
  • 焼戻し
  • 焼鈍(焼なまし)
  • 超サブゼロ処理
  • その他金属熱処理

真空中(または不活性ガス中)で、製品の加熱・冷却を行なうので、酸化膜の発生がなく、変形・変寸も大気炉と比較して少なくなっています。そのため、半導体金型や各種精密金型をはじめ、自動車、弱電からジェットエンジンにいたるまで、あらゆる製品に当社の金属熱処理技術を活用できます。

真空熱処理の特徴

酸化しない

真空熱処理を施すことで、酸化被膜の付着を防ぎます。

歪みが極少

当社独自の熱処理工程により、歪みを抑制し、均一な熱処理を行なうことができます。

後加工が省略できる

熱処理後は光輝性が保たれ、変形も極小に抑えられるため、後処理の省略が可能となります。

加工分類

■焼入れ(焼戻し) ・焼入れ(焼入れ)・真空焼入れ
■焼なまし(焼鈍) ・焼なまし(焼鈍) ・完全焼なまし ・応力除去焼なまし ・ひずみ取り焼なまし・磁性焼なまし
■その他の熱処理 ・溶体化処理 ・時効処理 ・超サブゼロ
■取扱材料 ・各種高速度工具鋼 ・冷間ダイス鋼 ・熱間ダイス鋼 ・マルテンサイトステンレス鋼 ・マルエージング鋼・特殊ステンレス鋼 ・耐熱鋼 ・タングステン鋼
■取扱材料 ・自動車部品、家電製品部品(各種ベーン他) ・小径ピン ・ブローチ ・ブレードメタル ・精密部品 ・精密金型 ・半導体金型 ・光ディスク金型 ・産業機器ローラー金型 ・鍛造金型 ・ガスタービン部品(ジェットエンジン、発電) ・ゴルフヘッド ・その他

金属熱処理加工真空ロウ付け

真空熱処理

  • ニッケルロウ付け
  • 銅ロウ付け
  • その他各種ロウ付け

冶金接合技術のひとつで、複雑な形状の接合を可能とするのが、真空ロウ付けです。機械加工が困難な製品の製作や、異種金属の接合に加え、真空熱処理によって酸化物等の不純物の混入が激減し、均熱処理が実現し品質が安定します。特に当社ではニッケルおよび銅の真空ロウ付けを得意としており、精密搬送機器や工具等に採用されています。

真空ロウ付けの特徴

酸化物等の不純物混入を激減

真空中で接合を行なうため、酸化物等の不純物の混入が抑制されます。

均熱処理により品質が安定

対象製品の全体を均一に加熱するため、歪みが少なく、品質が安定します。

機械加工が困難(高コスト・重切削)な製品にも適合

こ通常、加工が困難とされる複雑な形状の金属同士であっても接合が可能。

異種金属の接合

素材の特性に応じてニッケル、銅などの適切なロウ材を選択することで、異種金属同士の接合を可能とします。

[主な種類]真空ニッケルロウ付け

■特徴 高強度(他のロウ材よりも、高強度を誇る・高耐食性)
■加工例1 軸受鋼+軸受鋼
:精密搬送機器(スライドブッシュ,他)
■加工例2 ステンレス鋼+ステンレス鋼 (ステンレス鋼+銅合金) (銅合金+銅合金)
:精密搬送機器(スライドブッシュ,他) 燃料噴射ノズル,樹脂成型用金型 宇宙航空関連ダクト,他

[主な種類]真空銅ロウ付け

■特徴 流動性に優れあらゆる金属間に対応
■加工例 軸受鋼+超硬
:精密治工具など

金属熱処理加工イオンプレーティング

真空熱処理

  • HDCr
  • TiN
  • TiCN

イオンプレーティングとは、真空中において表面コーティングを行なう手法です。真空メッキとも呼ばれます。当社では、蒸発源にホロカソードディスチャージ(HCD)を用いており、ドロップレットやスプラッシュが少なく、精密で平滑な膜を形成します。表面粗さの変化が微小なため、仕上げ加工や磨き加工の必要がなく、半導体封止金型をはじめとする多くの精密金型・精密部品などに採用されています。

イオンプレーティングの特徴

低温での成膜が可能

低温(500℃以下)であっても成膜が可能であり、高い密着性を得ることができます。

反応性成膜が可能

窒化物等が成膜できるため、超硬質被膜の形成が可能です。

高密着性

密着性が極めて高いことから、耐摩耗性に優れています。

イオンプレーティングの分野ごとの様々なメリット

■工具・金型 ・耐磨耗性:硬質セラミック皮膜で耐磨耗性を向上 ・低摩擦係数:滑りを向上させ、摩擦係数を低減
・離形性:型離れを容易にする他、コンタミ防止 ・耐食性:錆の発生を遅らせ、腐食を軽減
■機械・電気部品 ・摩擦・摺動特性:低摩擦係数が特性を改善 ・凝着焼付性:滑りを促進して焼付性を改善
・耐久性の向上:耐フレッチング、耐ピッチング性を向上
■医療機器 ・損傷の軽減:耐磨耗性の高い硬質膜のプロテクション(傷がつかない)
・凝着焼付性:凝着性を軽減して取れやすい、洗いやすい ・装飾:塗れる・気品・見栄のよさ

[主な種類]HDCr

HDCr

HDCr(エイチ ディ シー アール)は、精密金型の為の改良版クロムナイトライド(窒化クロム)。離型性、摺動性の向上に抜群の威力を発揮します。

■材料 ・SKD ・SKH ・WC ・SUS ・その他
■用途 ・樹脂成形用金型 ・ゴム成形用金型 ・粉末冶金成形用金型 ・熱間鍛造金型 ・アルミダイカスト用金型

[主な種類]TiCN

TiCN

TiCN(ティアイシーエヌ)はTiNをベースに、より硬度を求めた膜です。特に負荷の大きいプレス金型に適しております。

■材料 ・SKD ・SKH ・WC ・SUS ・その他
■用途 ・プレス金型(重負荷) 
・樹脂成型金型(高硬度樹脂用)

[主な種類]TiN

TiN

TiN(ティ アイ エヌ)はコーティングの定番、窒化チタン(チタンナイトライド)。黄金色の色彩を持つ、多用途の硬質膜です。特に当社のものはHCD方式でドロップレッドが少ない滑らかな性状を持っております。

■材料 ・SKD ・SKH ・WC ・SUS ・その他
■用途 ・樹脂成形用金型 ・ゴム成形用金型
・粉末冶金成形用金型 ・熱間鍛造金型
・アルミダイカスト用金型

品質管理

品質は、目に見えない。
だからこそ。

熱処理加工は、いわゆる「特殊工程」に当たります。品質を目で確かめることができないからこそ、組織的かつ厳格な工程管理が必要と考えています。精確な品質を保持するため、ロックウェル硬さ試験機、ビッカース硬さ試験機等、各種試験機を導入。得られたデータを保管し、ユーザーの皆様にご報告しています。

確かな品質管理で、製品の品質向上に貢献
測定機器による品質管理

測定機器による品質管理

ダイヤルゲージ

ロシクウェル硬さ試験機

ロックウェル硬さ試験機

研究開発

熱処理の力で、人と地球にやさしく、
未来を切り拓く。
県内外の大学や研究機関と
共同研究を行なっています。

創業以来蓄積された熱処理加工の経験と膨大なデータをもとに、新技術の開発を積極的に進めています。2003年度(平成15年度)からは産学官共同研究を実施し、数多くの成果を上げています。金属素材のみならず、繊維などの素材に対しても熱処理加工を可能とする技術など、熱処理加工の最前線を走ってきた当社ならではの技術を多数開発しています。

高機能繊維

シルクに対して熱処理加工を施すことで、表面に電磁波防護機能を付与する技術を研究機関と共同で開発。金属素材よりも軽量かつ安価に製造できるメリットがあります。

研究開発専門 窓口

担当 中津山 國雄